交通事故で物損が発生したときには「評価損」が発生することが多いです。評価損とは、事故車となり、修理等の手を加えたりしたことによって、車の価値が低下してしまうことによる損害です。「格落ち損」とも言います。
しかし、評価損については、保険会社が損害として認めないので、争いが発生することが非常に多いです。
今回は、交通事故で評価損を認めてもらえるケースについて、虎ノ門法律経済事務所の弁護士が解説します。
1.評価損とは
交通事故で車が傷つき、修理に出すと、たとえ修理を終えたとしても「元通り」になるわけではありません。修理歴や事故歴がつくことにより、どうしても交通事故前と比べると、評価額が下がります。事故前の評価額と事故後の評価額の差額は、交通事故によって発生した損害と言えます。それが、車の評価損であり、格落ち損です。
ただし、評価損については、必ずしも損害内容として認められるものではありません。
裁判例でも、評価損の賠償請求が認められるケースは限られていますし、評価損が認められる場合でも、格落ちした全額の賠償が認められるわけではありません。
2.評価損が認められるケース
評価損が損害として認められるのは「修理を加えても、車の外観や機能に欠陥を生じた場合」や「事故歴により、車の商品価値が下落した場合」です。
多くの裁判例においても「被害車両の価格が、交通事故前の価格と比べて下がっていると認められる場合」において「差額」を損害とすべきとして、評価損が認定されています。
具体的に、評価損が認定されやすいのは、「外車」です。
外車はもともと金額が高く、ブランド価値も含まれているので、事故車になることによる価値の下落が激しいと考えられるからです。たとえば、登録後2年半経過、走行距離36,610キロメートルのメルセデスベンツについて、修理費用の36%相当の評価損を認めた裁判例などがあります(東京地裁平成7年2月21日)。
また、国産車の場合でも、初年度登録後、3年以内の車両の場合には、比較的評価損が認められやすいです。たとえば、初年度登録後9ヶ月、走行距離が11,513キロメートルのセルシオについて、修理費用の30%の評価損を認めた裁判例などがあります(東京地裁平成10年9月9日)。
ただし、国産車で初年度登録後3年以上が経過していても、評価損が認められているケースはあるので、そういった場合でも諦める必要はありません。
3.評価損を争うときには、弁護士にご相談下さい
車の評価損が問題になると、保険会社が認めないので争いになることが多いです。そのようなとき、本当に評価損が認められないのかどうかについては、これまでの裁判例などをもとに、ケースごとに判断する必要があります。
そのためには、弁護士による法的な知識と判断が必要です。
車の格落ち損が発生して賠償請求をされたい場合には、一度、虎ノ門法律経済事務所まで、ご相談下さい。